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軽い気持ちでホストやってボコボコにされた話

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目次

ホスト誕生

19歳、部屋のベットでゴロゴロゴロゴロ、あー、金欲しいー。

セックスしてぇぇ、、、!そうだ!

ホストになろう!!

一ヶ月だけホストで働いた話です。

そんな動機で当時コンビニで売っていた求人誌を買ってホストクラブに電話すると、

今日19:00に来れるか?とのことで

そのままの服装で新宿アルタ前に向かいました。

どうせホストやるなら歌舞伎町で、歌舞伎町ど真ん中のホストクラブで、、、、、、

アルタ前一目でホストとわかる派手な服装が二人、

ポケットに手突っ込んでユラユラ体を揺らしながら落ち着きなく立っています。

絶対あいつらだと思い近づいて行くと

目があって

「電話くれた人!?面接!?」

まだ話しをするには距離が遠い、、、、、、

声がデカい。

この距離……こっからはまだ声だしたくないよ。

何言ってるか分からない振りして距離を縮めてと思ってると

「面接〜!?」

声がでかいよホスト、、

「は、はい!」

俺を見て、ホスト二人が大丈夫でしょ何て小声で話してるのが聞こえてきて

「店、こっちだから」

慣れた風で人ごみの中をかき分けるようにガツガツと歩いていく二人、

こっちは歌舞伎町なんか初めてで、目に映る人がみな悪人に見えて絶対に身体がぶつからないように

注意しながら二人についていった。怖いよ、超怖いよ歌舞伎町

でっかい交差点、磯辺焼きの屋台、そこのつぼ八への直進はしないで右に曲がり

区役所通りを左へ、

また少し歩いて細長いビルが続く中の一つ。正面にエレベーターがあるけど

客と一緒じゃないと乗っちゃいけないらしく、3階まで階段をのぼった。

1階から5階まで全部夜の店。2階はフィリピンパブだったかな。働き出してからは氷がなくなると

分けてもらいにたまに行って、フィリピーナがとても愛想良く優しかった。

 薄暗い店内に入ると個室に案内され、経営者っぽい人が来て面接が始まった。

「今日はどこから来たの?」、「何歳?」「なんでホストになりたいの?」

立て続けに質問され、適当に答え、

「ま、ダイジョブでしょ。今から仕事ね」

今から?今日帰らないって親に言ってないよ……なんて言える空気なわけなく

「全然、大丈夫です!」

売れないホストが誕生した。売れないまま辞めていくホストがまた一人。

寮生活

若くて生意気な先輩ホストが「今日から寮生活だから、強制だから」

そいつは16歳だった。

今寮で自分が一番下っ端で先輩6人のパシリをさせられてるから、どうしても俺を

寮に入れてパシリから解放されたいという事らしい。

こいつの源氏名は「ザリガニ」だった。

ここのホストクラブのオーナーは大阪から来た人で、体には大阪のお笑いの血が流れていて

新しいホストの名前はこの人の直感で全てふざけた名前を決められていた。

ザリガニは長髪で細くて毛先に軽いパーマをかけていて遠目で見ると

なんとなく「ザリガニ」に見えて、名前に違和感がなかった。

そんな俺の源氏名は「キテレツ」。

普段はコンタクトレンズをしているけど、面接の日に眼鏡を掛けていたことで

キテレツ大百科という漫画の主人公のキテレツ君みたいだね、というこでこの名前になった。

基本的にはザリガニに色々教えてもらう事になって、寮から仕事までザリガニとは一日ほとんど

一緒にいた。

ザリガニの事情

ザリガニは16でホストやってるだけあってやっぱり心に闇を抱えていた。

両親はとっくに離婚していて、母親と暮らしていたが母親はスナックのママ。

常に彼氏がいるけど気が付いたらいつも違う男を家に連れ込んでた。

それが嫌になっておばあちゃんの家に頼ることになったけど、それはそれで

凄くつまらなかったらしい。

ぼっとん便所でうんこしてる時にデッカイバッタが出てきて、こっちは動けなくて焦った……

なんて話を楽しそうにしてくれた、

何にもフォローができない程のつまらない話だった。

でも、心の奥に大きな寂しさがあることが伝わってきて

俺は両親もじいさんばあさんも仲良くて普通の生活できてて幸せなんだな。と

感傷に浸りながら話を聞いていた。先輩として凄く偉そうなこと言ってたりしてたけど、

16歳だから、19歳の自分から見てもほんと子供で愛情をあまりもらえずに育てられたザリガニが

凄く可哀そうに思えた。

好き勝手やってるザリガニの母親にムカついていた。

ホストの仕事

18:00に出勤してすぐにセントラルロードへ

夜の歌舞伎町は毎日祭りのように人で溢れかえっている。

そこで自分の店の縄張りでキャッチ(女性に店に来ないかと声掛け)をする。

この縄張りはケツ持ちのやくざが敵対するやくざとの取り決めで

キッチリ決まっているので、しっかりと守らないといけない。

他の領域でキャッチなんかしようものならすぐに大事になる。

キャッチも相手が直ぐに足を止めてくれるわけもないので、歩きながら女性と話していると、

気が付いたら他の領域まで入っていしまっていることもしばしば、

そうするとたまに他の店のホストがケツ持ちに話をしてやくざが来て「どこの店だよ?」と。

超怖いですよ。当時のやくざは見た目から凄んでいたから。

ゲームの「龍が如く」そのまんま。

そんなときの対処法もザリガニから教えられていて

「ナンパですよ」「店とかホストじゃないです。」といえば顔憶えられちゃうまでは大丈夫だという事らしい。基本的に堅気には手を出さないのはやくざの共通ルールらしかった。

怖すぎるから凄くボーダーラインは意識していた。

うまくいかないキャッチと接客

キャッチは要はナンパとほとんど同じだから、全然成功しません。

ずーっと、声をかけ続けます。

自分の客をゲット出来たら暖かい店内へ行けます。

客をつかめないと3:00くらいまでキャッチを続け店へ帰り、

客のいる先輩のところに同席して酒をガンガン飲んで飲みまくって、

ゲロして、また飲んで、飲んで、

お客さんの入れたボトルを減らして、追加注文させます。

店内の接客はたまにテレビで放送しているのとそんなに違いはありません。

個人個人のホストの実力、やり方で客を楽しませる。

女性を凄く持ち上げるタイプ、本指名をもらったら超冷たくするタイプのホスト、色々です。

で、毎夜毎夜のどんちゃん騒ぎ

それで最後の客が帰るのが6:00くらいでした。

そこから先輩の世話です。

先輩ホストのパシリ

寮に帰りとりあえず全員即寝ます。

それから数時間すると先輩が起こしてきて、パシリの始まり。

ホストは基本家庭環境に問題があった人が多くて案外優しくしてくれて、意外とイジメ的な扱いはありませんでした。

決められた寮の仕事は全員の夕飯の弁当を買い出しに行くくらい。

あとは先輩ホストがするいたずらの手伝いとか、美容院に一緒に行くとか。

めんどくさかったのが、マッサージ1時間と120kgある先輩ホストがパンツのみで寝ているところを

ジャンケンで負けたやつがケツの匂いを嗅ぐゲーム。

ただ猛烈に臭いだけ、という……。なんか恒例になっていて頻繁に誰かしらがやらされてました。

チーマーはラリッてて一番怖かった

当時はチーマー全盛期で歌舞伎町にもチームがありました。

いつも5人か6人くらいで行動していていつも何かしらのクスリでキマッちゃってて、

こいつらすぐに喧嘩とかしたがってて、簡単に人殴っちゃうし恐ろしかった。

リーマンがボコボコ

22:00、いつも通りキャッチをしてて相変わらず客を入れることもできずにプラプラしていると

チーマーがやってきました。

チーマーのボスは身長が155cmくらいで小さく、

No2は120kgはありそうな巨漢。あとはどれも同じような不良たち。

このボスはいつでもキマリまくってて常にクスリが入ってるようなイッちゃってるような

感じ。

チーマーのケツ持ちのやくざはこっちのケツ持ちとは違うやくざで敵対してるから、

こっちのシマで勝手やられると先輩たちも黙ってる訳にはいかないんで、ピリピリしていて

あー早くどっか行けよ~、頼むから~と祈っていたら、

べろんべろんに酔っぱらった千鳥足のサラリーマンが歩いてきて、

チーマーたちと向かい合ってしまった。

チーマーたちは立ち止まって今にも倒れ掛かってきそうなリーマンのおっさんを

感情がどっかに飛んで行ってしまったかのような表情で仁王立ちしている。

フラフラしてるおっさんが案の定転びそうになって、

ドンッ 

チーマーのボスに野垂れかかった

おっさん終わったな、とその光景を凝視している20~30人のギャラリー。

「クソガキが邪魔なんだよー!!」

!!??

まさかのおっさんが最初にキレて怒鳴りながら、よろめいた勢いでボスの首にぶら下がってる

ぶっとい金のネックレスを力のままに引きちぎった……

そこからは地獄だった。

ボスの頭突きがおっさんの鼻っ柱にクリーンヒットして映画のように鼻血が噴き出すところから始まって、巨漢の張り手、ボスのフルスイングパンチの連打、顔面のみ。

当然怖すぎて誰も止めない。

もうおっさん糸の切れたマリオット状態で力が全く入ってない。

けど、キマッてるチーマーそんなの全く気にしないで殴り続ける。

少ししてようやく仲裁に入ったのは、すぐ目の前で磯辺焼きの屋台してる婆さんだった。

「もう、止めなよ!死んじゃうよ。警察も来るよ」

チームの連中は婆さんとは仲がいいらしく、素直に止まった。

やりすぎで、これ以上は死んじゃうのわかってて止めるキッカケ待ってたかもだけど、

後から思えば。

しかもおっさんの方が悪いしね。チーマー何もしてないのに高い金のネックレス引きちぎられてるから。

ボスは下っ端が拾う散らばった金のネックレスを指さして

「こんなだよ、これ、バラバラ」

と言っておっさんの財布から札だけ抜き取って

婆さんと少し話してから足早に立ち去って行った。

すぐに警察が2人駆け付けてきた。

婆さんが事の成り行きを説明していた。

妙に婆さんに素直だったのは、そろそろ警察が来るのが分かってチーマーは立ち去ったんだろう。

歌舞伎町のチーマーの怖さを知った日だった。

その翌日は二人の大学生くらいの人たちがチーマー5人に追いかけられてて

全速力で逃げてて、

またその数日後は若い男3人を整列させてボスが順番に思いっきりビンタ喰らわしていたり

「誰がチビだって?おぉぉー!!?」と怒鳴ってた。

もう、毎日毎日チーマーが怖くてなるべく一人で歩かないようにしてた。

国民的シンガー

23:00頃、いつも通り靖国通り付近でキャッチをしていると

真っ白なデッカイ車が止まった。付き人らしき人が後ろのドアを開けて、

白のふかふかの帽子、白のコート、白いワンピース、白いブーツ、全身真っ白で統一された服で

天使のような、真っ暗な夜に眩しいくらいにキラキラした女性が両サイドを二人の付き人に守られながら歩いてきた。

明らかに他の人間と違う生物だった。

人があんなに輝いて見えたのは嫁の花嫁姿以外見たことがない。

その人はその日から1年くらいしてヘイヘイヘイミュージックチャンプに出て

国民的シンガーになっていった。(一応名前は伏せておきます。)

先輩ホスト達とは顔なじみで、「久しぶり~」「元気~」なんていいながら優しく手を振るそぶりを

みせていた。

その日の要は他にあるらしかったけど、先輩が俺のことを紹介してくれた。

「こいつ新人のキテレツ。」

「こんばんは。」ただ挨拶しかできなかった。天使過ぎて。

「こんばんは。よろしくね言葉の最後にハートがはっきり見えたのは

後にも先にもこれだけだ。

天使はそれだけ言って去っていった。

No1がバックレて辞める

いつも通り出勤すると、なんか慌ただしかった。

No1の誠さんが飛んだらしい。

結構金稼いでてよく客を家に連れ込んでて、順風満帆に見えていたけど、

実は家庭があって子供の為にホストの足を洗って昼間の仕事をするらしかった。

オーナーとかNo2とか3、上の達は慣れたもんで落ち着いていた。

多分、飛ぶ気持ちも理解できるんだろう。

仕事を始めて1ヶ月。

ホストやってみたけど、キャッチで客入れても大体は1時間で帰って行って、全然金にならない。

そこから自分の固定客にすべく、こまめな連絡を入れたりするんだけど、それも大概無視されて、次に続かない。

結局ホストもちゃんと喰っていくには凄く自分を管理できる人間で、

自分の活かし方を知っている人。そのために努力できる力が必要なんだなと思った。

そしたらホスト辞めたくなった。

もともとの始まりが安易だったから、辞めたきゃ辞めるだけと思っていた。

辞めると言ったらボコボコのボコボコ

No1が飛んでから数日してから、オーナーのところに行って

「辞めます」と言いに行った。

オーナーは「え?そうなん?」と言うだけで去っていった。

今思えば、それでもう辞めて帰って良かったんだと思う。

暗黙のルールが急に飛んで辞める事を許してたんだろう。

それはNo1のやめ方が物語っていたんだ。

だから普通の会社みたいに辞めようとした自分は死にそうになったんだ。

集団リンチ

オーナーに言った後も、いつ辞めるとかよく分からなかったからそのままいつも通りにキャッチをして、

ザリガニとか、良くしてくれてる先輩たちは

「辞めるんだってな、まあ、しょうがないよな」

「ホストで売れる奴は一握りだからな」とか

「売れなきゃ長く続ける仕事じゃないしね」

等等、基本的には自分たちも遠からず辞めていくことを分かっているような感じで、

辞める奴には冷たくなるなんてのはありませんでした。

立場が近い先輩たちは……

早朝5時過ぎに最後の客が帰り、

ミーティングをして片付けをしていました。

オーナーも帰り、売れてる上位のホスト達も帰っていきました。

ザリガニと数人で掃除をしていると、

今まで全く話をした事がない先輩が近づいてきました。

ガリガリで背が小さくて長髪で一回り大きいスーツをきている様相はまさに、スーツを着るガイコツでした。

もう5年以上はホストをやっていて立場的には売れてるホストより先輩でかなりえらそうにしていました。

「お前辞めるんだって?」

「あ、はい。」

「舐めてんの?」

薄暗い店内、残ってるホストは7人。

何か始まる嫌な空気。

「い、いえ、舐めてないです」

「舐めてんだろ?あ?」

「舐めてないです。」

「舐めてんだろ?」

「なめて……」パーン!!

おもっいきりの平手打ち。

まだ、聞いてくる

「舐めてんだろ?」 

もう正解の返しが無いので黙っていると、

もう一発 パーン!、逆も パーン!

ザリガニも、寮が同じ先輩たちも、止めることが出来ない状態。

止めに入ればついでに一緒にヤられるから。

ガイコツが奥で寝ている仲の良いホストを起こして、

「こいつ、殴られたいらしいよ」

で、また平手打ちフルスイング、パーン!

酒も入りまくってるし、やられてるけど興奮状態マックスで全然痛みを感じない。

これが、あとどのくらい続くのか、ちょっとヤバいな、。

ガイコツの仲間が起き上がった。

ただのオッサンがスーツ来てるだけで、こいつもガイコツと同じで、

どんな客が付いてんだよ?

タッパもあって贅肉もしっかり付いててデカい。

ガツーンッ!

いきなり右ストレート顔面。

シャドーを始めて、体制立て直した俺にすぐさまワン・ツー!

自称元ボクサーらしい。

「膝から倒れるハズなんだけどな」

なんかあんま痛くないなと思ってたら、

アゴだけ狙ってたんだ。

アゴ殴って脳揺らして倒れちゃう、みたいな。

これはラッキーだったよ。あんなデカい拳で顔ガンガンいかれてたら、

顔潰れてたと思う。

多分中途半端にボクシングやってただけ。

それでも俺は殴られ続けてる訳だけど。

パンチが止まらない中、

「ダメだこいつアゴ強えー。拳痛くなったからもういいわ。」

と言ってまた寝だした。

そしたら次は寮でいつも寝ててケツのにおいの罰ゲームにされてる

120kgの大デブ。

柔道やってたらしい。

一本背負い!バターン!!

直ぐに立たされてバターン!

またすぐにバターン!!

何か全然痛くは無かった。

しっかり柔道やってた奴だったから、綺麗にキマリ過ぎて痛くないの。

変な着地しなくて済むわけ。

3回投げられて、巨漢はすぐに疲れちゃって

座って見学に周った。

なんだかんだボコボコに色々やられちゃってるから、もうソロソロ意識飛ぶのか?

なんて、それならそれで終わりたいわなんて思ってると、やっぱりそんな甘くないね。

ガイコツが傘立てから傘持ってきて、

顔面、頭ガツガツ殴りだした。

2本傘がぶっ壊れて、3本目、透明傘。

「お前ムカつくわ〜」

まだまだ気が済んでない、。

しまいには傘の先端で思いっきり顔を突いてきたけど

もう失明するとかも考える気力も体力もほぼゼロ。だけど

眉毛の下あたりの骨を殴られると、激痛が走った。

どんなに酒が入ってて、集団リンチされてても、目の骨は超いてーんだな。

「もう、いらねーわこいつ」

ガイコツがようやく飽きたらしい。

「お前よー警察に言ったら家族ごとやるからな」

柔道のデブも

「警察に言ったら分かってるよな」

二人は一応逮捕されるレベルのことやってるのわかってるのね。

超警察ビビってるし。

「帰れよ」

ガイコツ。

……ようやく解放される、。

非常階段の方へいかされて、蹴落とされる。

ちょっと飛ばされて、途中の階段でワンバン。

運が良かったのたか酒か、打ち所は良かったようで、あんまり痛くもない、

けど、直ぐに立ち上がったらまたガイコツなんかしてきそうだから、

落ちてそのまま動きを止めた。

ガイコツは無言で戻って行った。 

あー、やべー死ぬとこでした。

死ぬ時ってこんな感じが収まらずに、エスカレートして、

気がついたら死んでんだろ。

素直に飛んじゃえば良かったよ。

もう立ち上がるのも必死。体全部が痛い。

でも生きてたからネタになるわ。

あ~でもまず、家帰りてぇ。母ちゃんなんでもやってくれる。

目が覚めた、裏路地で気を失ったのか、寝てたのか、通勤する人達を見上げながら

帰らなきゃと思った。

歌舞伎町から新宿駅へ向かう魚群ならぬ人郡。

こんな、ゴミのような若造見慣れているのか、なんの、違和感なく通り過ぎていく。

8時少し前くらい、太陽がしっかり出てて眩しい。

新宿駅へ向かった。

帰路

やっぱり電車は満員だった。

顔面血だらけ、髪ボサボサ、スーツビリビリ。

目の前の席が空いた。

譲られるというより、避けられたんだろう。血だらけだから隣も席を立っていった。

躊躇なく座る。できれば横になりたいくらい。

口から血が止まらないから血染めのおしぼり加えてるし、異様この上ないw

30分で実家の最寄り駅についた。

電車を降りた途端、気が抜けて

ホームに倒れ込んでしまった。

1番車両だったから周りは直ぐに人がいなくなった。

ホームの端っこ。

体力の限界と横になれた気持ちよさと

うつ伏せで頬がホームの地面にビッタリつけたら、

冷たくてめちゃくちゃ気持ちよかった。

もうこんなバカやめよう、とふと思った。

救急車

「大丈夫ですか〜?」

「大丈夫ですか〜?」

また、眠ったか意識失ったかで、遠くから聞こえる呼びかけに目を覚ました。

救急隊員が2人か3人で目の前にいた。

タンカーがあって、俺を持ち上げようとした。

馬鹿な俺は意地を張って、

「乗んねーよ!大丈夫だから!」

と拒否した。

ふー、ふ〜、と息しながら、体力振り絞って

よたつきながら

改札に向かった。

しつこい奴

翌日、病院行く選択肢より寝る選択肢が余裕で勝って限りなく寝ていた。

17:00

行く時間だ。ホストクラブへ、昨日までなら。

もう今日は行かなくていいんだ。

18:00

ホストクラブにいた。給料日だったから。

あとザリガニ達に挨拶しようと。

ガイコツも当然いた。

「続けんの?」

「いや、辞めます」

「今日来るなんて誰も思ってねぇよ。お前根性あるから売れるかもよ」

なんかちょっと嬉しかった。

でも言ったガイコツは売れてないから……

それから顔がひどく腫れた状態でキャッチして、口の中でしみるから酒は極力飲まず。

店にも出て接客して、

掃除して、オーナーから給料を貰うミーティングの時間。

No1から順番に封筒に入った給料をわたされる。

流石ランキング上位は札束で封筒パンパンだ。

一番最後に俺。

かと思いきや、給料配布が終わった。

「俺貰ってないんです」

「あ?」

「あ、あの俺の…」

「辞めたんだろ、ねーよ」

「でも給料は欲しいです。」

先輩ホスト達もこのボコボコの顔はもう殴ったりしようとしないらしく、

オーナーに加勢する人はいなかった。

「じゃあ、やるよ、うるせぇな!」

札束で膨れ上がった財布から札を何枚か抜き取り、俺めがけて投げた。

給料貰わなきゃボランティアだろ、

俺はいくらでもいいから給料貰って、働いたという事実だけが欲しかったんだと思う。

が、ケチすぎる!!

2万だった。

面接のとき最低保証は14万て言ってたのに!

2万を拾って「お世話になりました。ありがとうございました」と言って

最後ザリガニとアイコンタクトでお礼言おうと思ってたけど、

ザリガニは眠気と戦っていて、8割目が閉じていた。

これでたった一ヶ月のホスト生活がおわりました。



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